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VRC学園12期 11日目 選択授業 あるふあ先生

それがたとえ異世界であったとしても

001teacher あるふあ先生

この日は最後の選択授業でした。 あるふあ先生 による お砂糖って何? 基本的な内容と注意点 という講義です。VR文化の中でも特にディープな要素とも言えるかもしれません。

「お砂糖」は厳密な定義のある言葉ではなく、ある種のネットミームのようなものでもあり、隠語のようなものでありながら、正確に一言で表せる単語がないことから用いられる言葉と言えるかもしれません。そして基本的に日本限定で通じるものです。

様々な前提を取っ払って誤解を恐れずに言えば「ネット恋愛的」なもののひとつの形態を表した言葉です。その関係性がお砂糖のように甘いものであることから…… といった源流があるようですが、正確なことはわかりません。

もう少し正確に表現すれば VRChat内で特定のプレイヤーと親密な関係を築くこと となります。ですがこれはかなり幅のある捉え方でもあります。

なぜなら、あくまでも「ロールプレイ」の一環として演技的な楽しみとしてお砂糖を行う人もいますし、またほとんど実際の結婚のような心身ともに本気のお付き合いとしてお砂糖を行う人もいるからです。そのどちらこそがお砂糖であるといった議論は不毛とも言えます。

インターネット上の行為であることからも、そもそも互いに顔や名前すらしらないという関係性が(上記のどちらの本気度であったとしても)存在しますし、そのジェンダーすら一定ではありません。

その一例を示します。あるリアル男性が、自分はリアル女性を一般的な形で好きになるのであろうという自覚で長らく生きていたとします。この男性をAさんとしましょう。

Aさんは一般的な男性として、リアルでもネットでもひととなりの恋愛を経験してきました。それなりに紳士的に、それなりに下心を持ちながらといった、どこにでもある出会いを経験してきたのです。

VRChatをはじめたAさんはかわいい女性型アバターを使用していましたが、あくまでも見た目だけのことでボイスチェンジャーを使用するでもなく、VRC内の友人も地元の飲み友達のような感じで気の合う男性プレイヤーが増えていきました。その友人たちも同じような人たちで、同じようなかわいい女性型アバターを使っています。

ある時Aさんは、その友人たちのひとりであるBさんへ特別な感情を持っていることを自覚しました。先に述べた通り、Aさんは一般的な男性で、恋愛対象としては女性を見ています。

しかし、Bさんはこれまでの友人関係の中でリアル男性であることを知っていますし、そもそも普段から互いに男性の声で話をしています。Aさんは悩みましたが、Bさんと過ごす時間を増やしたいと考え、その思いを伝えることにしました。

こうして 一般的な性的趣向を持つ二人の男性が異性カップルのような付き合いをVR上ではじめる という状況ができあがることとなりました。彼ら二人の思いの本気度や、考えるべき様々な問題、その後の展開についてはまた別のお話……

002class この日一緒になった別のクラスのみなさん

昔からインターネット文化の中では、そもそも顔も名前も知らない状態から実際に結婚まで関係が進んだという話そのものは珍しいものではありません。男性だと思っていた人とオフ会をしてみたら女性だったなんていうのもあるでしょう。

ややセンシティブな話ではありますが、この文脈においては一定以上の深い付き合いを始める場合、自身の性的趣向と実際の性別を確認した上でリアルの付き合いを開始するかと思います。

ですが「お砂糖」においては、恋愛感情として本気なものと自覚しながらも、互いの実際の性別はそれまで自覚していた性的趣向とは異なっているという例が珍しくないようです。

正確な研究によるものではないのでこれは私の想像となりますが、VR空間内でアバターを介した人間関係を築くことから 見た目に影響される度合い はかなり大きいのではないかと思います。

実際、VRCで使用される多くのアバターはとてもよくできていますし、VR空間内は実物大の距離感を感じられる体験となることから、ほとんど密着しているかのようなスキンシップも(触覚としてのフィードバックが無いにもかかわらず)得られる訳です。

私自身も自分をこれまで一般的な普通の男性だと自覚していますが「そういう状況になる人の気持ちも分からなくはないな」と、VRChatをはじめて自分でかわいいアバターを使ってみて感じるようになりました。

003teacher

あるふあ先生の授業ではまず上記のような「お砂糖の基本的な概念」を紹介されたあと、グループディスカッションとして VRC内で知り合った友人からお砂糖に誘われたらどう考えるか? が話し合われました。

私のグループでは「相手がどの程度の思いで誘っているのかをきちんと確認するために話し合う」といった意見でまとまったように思います。このブログの冒頭にある通り、お砂糖はあくまでも状況をひとまとめに表現した後付けの言葉に過ぎないので、これを怠ると結果的に不誠実な人間関係を続けてしまいかねないと考えたからです。

他にも様々な意見が出ましたが、どうやらこの日のクラスは基本的にお砂糖を受け入れる前提の意見が並んだようでした。別の日のクラスではお砂糖を断る場合の返答の方法など、また別の角度の意見が出ていたようです。

あるふあ先生はそれらの意見に対して答えがあるものではないとしつつも お砂糖関係はトラブルになりやすい ことを主張していました。

そして続けてのディスカッションで、 考えうるトラブルに対してどのような対策を講じるか が話し合われました。

これも様々な意見が出ていた訳ですが、先生によれば以下のような予防的なことを徹底するよう提案していたように思います。

  • 確認すべきことはきちんと相手へ確認する
  • 自分の意見はきちんと伝えておく
  • 周囲のフレンドにも相談をしておく
  • 断る(中断する)ときもきちんと相手へ伝える

職場などの一般的な距離感のある人間関係とは異なり、インターネットやアバターの壁はありながらも精神面での距離が近しい関係性を築くことにもなるので、問題が起こりやすいのは当然とも言えます。

その時に自覚はなくても、後から相手を悪く思ってしまうような結果にもなってしまうかもしれません。そうした状況は視野が狭まりますし、誰かのせいにしたくなるものです。

プライベートな話だからこそ、やろうと思えば本人たち以外では一切判断がつかないような状況も作れてしまうのかもしれません。それはやがて泥沼のような場面に育ってしまう危険性もあります。

先んじて「周囲のフレンドに相談しておく」というのも、第三者の視点として客観的な判断をしてもらう予防策なのだろうと思いました。

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私自身はそもそもリアルの恋愛関係が極めて少なく、基本的な人間関係ですらかなり悩んでしまうので、むしろ職場のような「やるべきことがハッキリしている場」の方が気楽だったりします。

職場のようなところではコミュニケーションが円滑に取れる方だと言われたりしますが、不特定多数が参加する場では本当にどうしたらいいのかわからず誰とも喋れず終わってしまうことは珍しくありません。職場では仕事の話に合わせて雑談すれば済みますからね。

そんな感じなので、特にネットやVRに限らず、異性関係はマジでどうしたらいいのか分かりません。私が知らないだけで、キモい!!と思わせてしまった異性はこれまでたくさんいたのかもしれない…… なんて考えたりします。そもそも女性のリアル友人はいないんですけど。

『私立VRC学園』に参加したのは、まさにそのような周囲に頼れる人がいない状況へ飛び込んで、そんな自分をどうにかしたいという理由もありました。お砂糖の話とはズレてしまいますが、きちんと自分から発言して、話すべきことは話すという態度は必要だという点では、むしろ原則的なことなのだろうと思わずにはいられません。

This post is licensed under CC BY 4.0 by the author.

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